殺された猫が祟る南瓜
どんな伝承か
遠野町のある家で猫を一匹飼っていた。ある夜、嫁が鉄漿をつけ終えて鏡を見ていると、猫が人語を発して、ああよくついたついたと言った。驚いた嫁は夫に告げ、あんな化猫を飼っておけば何が起こるか分からないと訴えた。夫はついにその猫を殺し、裏の畑の傍に埋めた。翌年の春、猫を埋めた辺りから勢いのよい南瓜が生え、大きな実を結んだ。喜んで煮て食うと家族が皆枕を並べて病み苦しんだ。巫女に占わせると生き物を殺した祟りといい、根を掘ると猫の骸骨の口から蔓が出ていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。