白布を取られた嫁姑と大岡様
どんな伝承か
嫁と姑が、あれは提灯だ、いや火チンだと言い争った。決着がつかないので、二人はそれぞれ夜こっそり白布を持って大岡様を訪ね、自分の言い分を通してほしいと頼み込んだ。翌日裁きを聞くと、大岡様は、あれは提灯でも火チンでもなく、白布二反をただ取りする火袋だと言った。またあるとき、二人は向かいの山にいる獣を馬だ、いや鹿だと一日言い合い、前と同じく白布を一反ずつ贈って裁きを頼んだ。大岡様は、あれは馬でも鹿でもない、馬鹿というものだと言い、二人の白布をまんまとせしめたという。
原典より
翌日、嫁姑が行くと、大岡様の云ふことには、あれア何だ、その馬でも鹿でもない、馬鹿と云ふものだと言って白布を二反たく取られた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。