上方言葉
どんな伝承か
上方言葉を覚えようと、田舎の物識り男が上方へ上った。ある町の宿屋で番頭に「お上洛か、お下洛か」と訊かれ、上る=上洛、下る=下洛と手帳に書きつけた。主人が「魚頭を投げろ」と言うのを聞いて頭のことは「ギヨトウ」、大石を引く掛声「ヨイコラサ」を石のこと、朱膳朱椀を赤い物、犬に言う「ハイチン」を貰いたいの意と、次々に勝手に誤解して覚えて帰った。秋に柿の木から落ちて怪我をした父のことを医者へ知らせた手紙は、これらの誤用だらけになったという笑話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。