笹山の火事に駆けつけた三人
どんな伝承か
ある所に、目の見えない者と口のきけない者と足の不自由な者の三人がいた。春先の空気が乾く頃、向かいの笹山に火がついた。目の見えない者がそれを見つけ、口のきけない者が大声で叫び、足の不自由な者が唐鍬をつかんで駆け出し、火を消したという。それぞれにできないはずのことをやってのける、とぼけた一口話で、著者の村で語られていたもの。
原典より
或所に盲とオッチ(啞)と足ボコ(跋)の三人があつた、春さきの乾燥時になると、向の笹山に火がついた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。