祈ると水中に土が浮いた土浮の由来
どんな伝承か
奈良時代のころのことという。さる高貴な方の姫が不治の病におかされ、悶々と日々を送っていたが、ある夜の夢に薬師如来が現れ、印旛沼のほとりにある薬師をたのめば必ず治るであろうと告げた。姫は早速支度を調え、供を連れてはるばる関東のこの地までやって来た。目指す薬師はもうすぐそこだというのに、広い川が道をさえぎって渡ることができない。思案にくれた姫が目を閉じ手を合わせて一心に祈り、供の者も共に祈って静かに目を開けてみると、水の中に土が浮いて一本の道が出来ていた。姫はその道を通って向う岸へ渡り、薬師の力で病は治った。こんなことからこの土地を土浮と呼ぶようになったという。
原典より
しばらくして静かに目をあけてみると、水の中に土が浮いて一本の道が出来ていた。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。