不治の病の姫が夢告で印旛沼の薬師をたのみに来たが広い川に阻まれ
どんな伝承か
奈良時代のころのことという。さる高貴な方の姫が不治の病におかされ、悶々と日々を送っていたが、ある夜の夢に薬師如来が現れ、印旛沼のほとりにある薬師をたのめば必ず治るであろうと告げた。姫は早速支度を調え、供を連れてはるばる関東のこの地までやって来た。目指す薬師はもうすぐそこだというのに、広い川が道をさえぎって渡ることができない。思案にくれた姫が目を閉じ手を合わせて一心に祈り、供の者も共に祈って静かに目を開けてみると、水の中に土が浮いて一本の道が出来ていた。姫はその道を通って向う岸へ渡り、薬師の力で病は治った。こんなことからこの土地を土浮と呼ぶようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史・自治体史(民俗))
『佐倉市史 民俗編』第八章口承文芸所収の伝説・怪異。千葉県佐倉市に伝わる口承を採録する。