古井戸から響くサクジョウよこせの声
どんな伝承か
佐倉に歩兵五十七連隊が置かれていたころ、入営した者はみな「佐倉連隊の七不思議」を聞かされたという。ある夜、門衛に立っていた兵が夜更けとともに眠気に負けてしまった。そこへ見回りの上官が来て、兵の銃から命より大事とされるサクジョウを抜き取り、そばの古井戸へ投げ込んだ。飛び起きた兵は、すぐ取ってこいと怒鳴られた。死ぬと分かっていても上官の命令には背けず、兵は上官の顔をじっと見つめたのち古井戸へ身を投げた。翌日から、その時刻になると井戸の底から「サクジョウよこせ」とうめく声が聞こえ、通りかかる者はみな気を失ったという。
原典より
そして、ねむっている兵隊の銃から、兵にとっては命より大切と言われている「サクジョウ」を抜きとり、傍の古井戸の中へ投げ捨ててしまった。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。