誰何に黙して撃たれた遊女の亡霊
どんな伝承か
佐倉連隊の七不思議のひとつ。ある晩、門衛に立つ約束をしていた兵を訪ねて、一人の遊女が夜更けにこっそりやって来た。ところが約束の時刻に遅れたため、相手の兵はすでに交代していた。それを知らない遊女が兵の名を呼ぶと、何の関わりもない門衛が「誰か」と三度叫んだ。遊女は相手がとぼけているのだと思い込み、暗がりに黙って立っていた。三度呼んでも答えがなければ撃てというのが門衛の決まりで、兵は女を撃ち、その夜のうちに亡骸を古井戸へ投げ込んだ。それからは決まってその時刻になると、古井戸から美しい遊女の亡霊が現れるといわれた。
原典より
それからは、きまってその時間になると、古井戸の中から美しい遊女の亡霊が出ると言い、佐倉連隊の七不思議に数えられていたのである。—— 佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐倉市史 民俗編――伝説・怪異(佐倉市(編)・佐倉市史)
『佐倉市史 民俗編――伝説・怪異』は、千葉県佐倉市の市史の民俗編のうち、第七章「民俗知識」と第八章「口承文芸」の伝説の節である。市内で採録した吉凶の予兆やまじない、民間薬、天気の言い伝えと、狐や狸の化かし、デーダラボーの足跡、岩富の首なし塚、天狗、狐火、印旛沼のカワボタルなどの伝説を収める。伝説は文化財保護委員会の分類に倣って自然伝説・歴史的伝説・信仰伝説に分け、終わりに村々の禁忌を置く。