弘法大師が杖で出した摺鉢の水
どんな伝承か
宮地の金丸の集落に、弘法大師が出したと伝わる湧き水がある。石灰岩の山裾の小さな穴から水が絶えず落ち、すり鉢そっくりの丸いくぼみにたまってあふれるので、この名で呼ばれるという。昔、宮地の奥から来た僧に水を求められた老婆は、谷まで下りて汲んできた。この辺りに水はないのかと問われて困っていると答えると、僧は涸れない水を出そうと言って金剛杖で岩を突いて水を湧かせ、肘で岩をこすって溜まりを作り去っていった。以来水は一度も涸れず、大正十三年の大干ばつの折にも多くの人を救った。溜まりの水を替えて掃除をすると病が治る、目を病む人が洗うと治るとも語られる。
原典より
老婆が「困っている」と答えると、それでは「年中枯れない水を出してやろう」といって金剛杖で岩をついて水を出し、肘で岩をすって水の溜り場を作って立ち去ったという。—— 北房町史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北房町史 民俗編
『北房町史 民俗編』は、北房町の町史民俗編のうち、第十二章「伝説と昔話」の第一節「伝説」を収めたものである。上水田・菅野・中津井・宮地など町内の在所に伝わる、郡様の腰掛岩、菅野の七人みさき、八天狗の火消し、駒繋ぎの絵馬、長力牛之介の伝説、犬塚、断頭様、姥捨山、盗人が迫などの話を載せる。岩・泉・塔・社・地名ごとに見出しを立て、その場所と由来の言い伝えを短く記す。