万年寺の珍念
どんな伝承か
向原上組の舟久保兵部右衛門(大正四年生)が語ったあわて者の笑話。寺の小僧は珍念といったという。和尚が前の晩に「明日谷村へ行ってくる」と口にしたのを聞いただけで、用を言いつけられぬうちに夜の明けぬうちから出かけてしまい、昼ごろ汗をかいて山門から登って来て「和尚さん谷村へ行ってきました」と告げた。和尚は、どこへ何の用で行くのかを聞かぬうちに出るとは何事かと叱り、人の言うことはよく聞いてからにしろという教えだと結んでいる。
原典より
406 あわて者の使い舟久保兵部右衛門 (T4)25姥捨て山523 A 親棄山舟久保みつよ (M29)26—— 向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 下――昔話』は、民俗調査の報告書『向原の民俗』下巻のうち、「口承文芸」の章を収めたものである。向原の下組の調査と上組の補足調査で採った昔話、世間話、伝説、畑作の諺を、話者の名と生年を添えて土地の言葉のまま記し、狐火や狐に化かされた話、万年寺や新田様の言い伝えも含む。概観に続いて昔話・世間話・伝説・諺の節を立て、昔話には『日本昔話大成』の話型を対照させた一覧表を付す。