狐に油物を盗られる
どんな伝承か
小明見の狐塚には狐が住んでいたという。この部落の者が吉田まで出て油ものなどを買って帰ってくると、途中でその狐に取られてしまい、必ず家の中まで持って来ることができなかった。同じ土地では、吉田で買ったこんぼうやザルが帰り道でなくなり、狐塚のあたりで皆盗られてしまったとも語られる。明治三十五年生まれの羽田甚蔵が語った、小明見に伝わる狐の話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 下――昔話』は、民俗調査の報告書『向原の民俗』下巻のうち、「口承文芸」の章を収めたものである。向原の下組の調査と上組の補足調査で採った昔話、世間話、伝説、畑作の諺を、話者の名と生年を添えて土地の言葉のまま記し、狐火や狐に化かされた話、万年寺や新田様の言い伝えも含む。概観に続いて昔話・世間話・伝説・諺の節を立て、昔話には『日本昔話大成』の話型を対照させた一覧表を付す。