弘法水
どんな伝承か
向原下組の羽田キクエ(大正二年生)が語った世間話。弘法大師がどこかは分からないがある家に立ち寄り、水を一杯振る舞ってくれと頼んだ。その家は井戸がなく水が出ないから上げられないと断った。大師が別の家へ行くと、そこの女は一里も二里も先まで行って水を汲んで来た。大師は一生水に不自由しないようにと言って杖をつき、そこからいくらでも水が使えるようになった。先に断った家では水が出なくなったという。人には親切にしろという言い伝えだと結ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 下――昔話(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 下――昔話』は、民俗調査の報告書『向原の民俗』下巻のうち、「口承文芸」の章を収めたものである。向原の下組の調査と上組の補足調査で採った昔話、世間話、伝説、畑作の諺を、話者の名と生年を添えて土地の言葉のまま記し、狐火や狐に化かされた話、万年寺や新田様の言い伝えも含む。概観に続いて昔話・世間話・伝説・諺の節を立て、昔話には『日本昔話大成』の話型を対照させた一覧表を付す。