山津波で埋まった池の平と池の主
どんな伝承か
御堂川に沿って林道を登り、湯沢からさらに少し上がると、山中には珍しい広く平らな土地「池の平」に出る。そこはかつて深い原始林に囲まれた大きな池で、池には主が住んでいた。あるとき近くの赤岩を中心に激しい雷雨が起こり、山津波で流れ出した土砂があっという間に池を埋めてしまった。住む場所を失った主は、北西の峰づたいに坂城の方の池へ移っていったといい、その通り道は「乗り上げの横手」と呼ばれる。今は植林されて地名が残るだけである。坂城の池の平も、のちの伊勢湾台風の土砂で埋まったという。
原典より
このため池の主は、ここに住んでいられなくなって、北西の山の峰伝いに坂城の方の池に移って行ってしまった。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。