瘡毒を治した小野小町の祈願社
どんな伝承か
登坂町の中ほどに青井明神という社があり、俗にくさ神さんと呼ばれている。昔、宮中で歌の競い合いが催され、全国から歌人が集まったが、小野小町にかなう者はいなかった。紀州から来た男がこれを妬み、朝廷に讒言して小町を宮中から追い払った。各地をさまよううちに小町は瘡毒を患って苦しんだが、夢の中で、前世の悪い因縁によるもので、奈良から一里ほど離れた所に疱瘡神を祀る社があるから一心に拝めとのお告げを受けた。小町はここで二十一日間水を浴びて祈り、病はすっかり癒えた。小町は一首の歌を残して伊勢へ去ったという。
原典より
登坂町の中ほどに青井明神という社がある。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。