千人目の病人が如来に変わった光明皇后の施浴
どんな伝承か
光明皇后は千人の病人を癒やそうと誓い、からふろ(蒸し風呂)に入れて九百九十九人までを救った。最後の一人は癩を病む者で、自分の膿を吸ってほしいと皇后に願った。最後の一人を見捨てては誓いが破れると考えた皇后が願いを聞き入れると、病人の姿はたちまち阿閦如来に変わり、このことは誰にも話さないようにと言い残して消えた。皇后はすぐに寺を建て、阿閦寺と名付けたという。いま法華寺の境内にあるからふろは、その名残だと伝えられる。
原典より
光明皇后が千人の病をなおそうとからふろに入れて九百九十九人まで救われた。—— 奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
奈良市史 民俗編――伝説(奈良市(編)・奈良市史)
『奈良市史 民俗編――伝説』は、自治体史『奈良市史』民俗編のうち、第十一章「伝説」と巻末の「民俗資料」の冒頭を収めたものである。昭和三十七年から三か年にわたり市内各町の自治会長や古老、社寺を訪ねて集めた伝説に文献の伝えを加え、春日大社・東大寺・興福寺などの社寺や、吉備真備・俊寛・中将姫らゆかりの人物にまつわる話を収める。木・石・塚・水・山・森・社寺・人物・動植物・町名の十節に分け、一話ごとに題を立てて記す。