七年三月ののち石を持ち帰った娘
どんな伝承か
根井沢のサクノジョウイエーという屋号の佐々木家に伝わる話。ある日、ヒッタデという畑で祖母と母、下男下女の四人が、七歳の娘を連れて蕎麦を蒔いていた。日暮れに帰ろうとすると、畑の上にいた娘が消えていた。いくら探しても見つからず、狼にでも喰われたのだろうと諦めるほかなかった。七年三月たって同じ畑で蕎麦を蒔いていると、娘の消えた場所でカキカキと音がする。見ると大きくなった娘が石を叩いていた。両手に赤い丸い石と白い細長い石を持ち、白い石には位牌にあるような字が入っていた。天狗に乗せられて天へ行ってきたといい、この石はカミサマだから粗末にするなと固く言われたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。