数珠と刀で憑物を追い出す祈祷
どんな伝承か
宮古の神子たちは、憑物や暴れる人の相手もする。田老の扇田フミ神子によれば、心の病もかつてはイタコさんの領分だった。まず数珠をもみながらホッソクという経を読み、続いて病に応じた経を、たいていは不動の真言を唱えて、病人の体じゅうに数珠を掛けてゆく。憑物落しのときはさらに、祈祷のあとで憑いたものを外へ追い出す。刀や弓矢を使うこともあった。九字護身法にはじまり、祓いの言葉、大神宮や山の神や熊野や羽黒の本地、国掛け祭文と読み進め、米と豆を座敷にまき、塩で火を清め、足を踏みながら門口まで行って外へ九字を切る。重い病なら三度まで通うが、三度祈祷して効かなければ見込みがないともいわれた。
原典より
人が神子のところを訪れる理由には次のようなものがある。—— 宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。