死の淵で神を授かったカミツキ
どんな伝承か
崎山の女遊戸の前川マツは明治三六年に生まれ、平成四年に亡くなった。二四歳で三人目の子を産んだ六日目に血がのぼり、髪の後ろから血が出て、葬式をしなければならないというほどになった。そのとき天から何かがそろそろと降りてきて、一万八千のお経が聞こえ、錦にくるんだ神様と数珠をもらったような気がして生き返った。神から命をもらったのだと思い、宮古一のカミサマに尋ねると、そういう生まれだと言われ、神の道の生まれだから拝むようにと教えられた。藤原の祠官のもとで修行して出雲大社教から免許を得、二六歳から祈祷に歩いた。玉除け、口寄せ、託宣、憑物落し、舟霊入れを行ったという。
原典より
崎山の女遊戸の人で、明治三六年に生まれ、平成四年に亡くなった。—— 宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。