豊作と悪風を告げた白山社の託宣
どんな伝承か
重茂では、館の白山神社と里の加倉神社でそれぞれ一月中旬になると春祈祷がある。平成二年の白山社では、後山ミネ神子が勤めた。九字護身法にはじまり、祓いと大祓い、年のはじめの祭文アラタマヤ、恵比寿の本地、山の神の本地、国掛け祭文、神拝詞と続く。託宣では笹を経机の上に置いて塩をまき、不動明王の真言を唱え、数珠を笹の上でまわし、シキジョウを歌って座ったまま語る。聞きあわせをするのは白山社の別当夫人でエーヘドと呼ばれ、四人の婦人が内容を書き留めた。今年は豊作、七月と九月半ばは悪風悪難、海上は荒き波風、二月から四月は流行り風邪に注意せよという託宣であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪(宮古市(編)・宮古市史)
『宮古市史 民俗編 上巻――民間宗教者・俗信・妖怪』は、宮古市の市史のうち、民俗編上巻の第四節「民間宗教者」と第五節「民間医療と俗信」を収めたものである。南部藩の宗門帳などの古文書から閉伊郡の山伏・神子・瞽女と里修験の成り立ちをたどり、イタコ・カミツキと呼ばれる巫女の系統、新宗教、民間薬、予兆・占い・まじない・禁忌を述べる。俗信の末尾には座敷童子・カッパ・キツネ・モウコ(幽霊)・オシラサマなどの話を、地区名を添えて箇条で並べる。