八王子駅北で鳴り続けたガラス戸
どんな伝承か
昭和五十八年十一月ごろから、国鉄八王子駅の北側にあたる旭町と三崎町の一帯で、ガラス戸や窓が一日じゅう小刻みに鳴り、かすかに動き続けるという現象が起きた。周辺およそ百世帯が不安を訴えている。昼は街の物音にまぎれて気にならないが、寝静まった深夜には襖まで音を立てて動きだす。三崎町一丁目の大竹ハルは、戸にテープを貼っても効き目がないと参っていた。住民は同じ十一月に開業した駅ビルを疑ったが、ビル側は剛構造で振動が外へ漏れるはずはないと否定し、原因は分からないままだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。