夢に現れて后の病を治した夢見地蔵
どんな伝承か
京都の三福寺の地蔵堂の地蔵は夢見地蔵と呼ばれる。上東門院は仏を深く信じ、地蔵を敬っていたが、病に臥したとき、地蔵を造ろうという願いもかなわず終わるのかと嘆いてまどろんだ。すると一人の僧があらわれ、我は地蔵である、汝の願いは届いた、我が像を造れば病は除かれようと告げて消えた。目覚めると病は軽くなっていたので、仏師定朝に命じて像を刻ませ、出来上がると病は治ったという。
原典より
地蔵堂、地蔵菩薩、此尊を号夢見地蔵、其濫觴は後一条院の后上東門院(染殿后)三宝に帰し給ひ、又地蔵菩薩を信敬す、或時病牀に臥し玉へり、思へらく、吾恒に地蔵尊を造立せん願あり病不治、願又空しと…—— 迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の研究(富士川游(監修)・富士川游・医学史/迷信研究・1932年(昭和7年))
『迷信の研究』は、富士川游が東京の中山文化研究所で監修し、昭和七年二月の緒言を付して世に出した迷信の解説書である。迷信を思考の錯誤ととらえ、その発生の由来を説いたうえで、身体・精神・疾病・妊娠と出産・育児・禁厭・相法・卜占・天文と暦・犯罪・宗教の欄ごとに迷信の事例を挙げ、科学的な説明を加える。同研究所の展覧会に使った説明のポスターをもとに簡潔にまとめ、巻末の奥書に参照した独逸と日本の文献を掲げる。