小鳥を呑んで腹で鳴かせた爺
どんな伝承か
爺が山へ薪取りに行き、梢で「ごよの宝ホチホチ」と美しく鳴く小鳥に心を奪われて捕まえ、家で婆に見せようと口に入れたところ、はずみで呑み込んでしまった。以来、小鳥は爺の腹の中で鳴いた。殿様の行列に出会った爺は「日本一のへっぴり爺」と名乗り、屁で「ごよの宝ホチホチ」と鳴らしてみせて褒美をたくさんもらった。評判を聞いた隣村の欲深い爺が秘訣を尋ねると、爺は野の草「あかさはながら」を和え物にして食べただけだと答えた。真似た欲深爺は殿様の前の布団の上で汚物を漏らし、偽者として刃をかけられ血だるまになった。褒美を待って便所の上で喜んでいた婆は、屋根が壊れて便壺に真っ逆さまに落ちたという。
原典より
むかしあるところにおじいさんとおばあさんがあって、おじいさんがあるとき山に薪取りに行った。—— 富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史)
『富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話』は、富岡市が編んだ市史の民俗編のうち、民俗知識の章の末尾と口頭伝承の章を収めたものである。口頭伝承の章は、昭和四十年代以降の中学校郷土部の採話や額部地区の民俗調査、市史編さんの調査で聞き取った昔話・伝説・世間話と、富岡・甘楽方言の解説から成る。伝説は自然的・社会的・信仰的の三つに分け、羊太夫や小野小町、貫前神社にまつわる話と多くの地名起源を載せる。