瓜盗人を捕らえる君川の早物語
どんな伝承か
君川の山田たみえが語った早物語で、群馬県史からの再録である。八反の畑になった瓜を、八十歳ほどの子供が裸足のまま引きちぎって逃げるのを、目の見えぬ者が見つけ、耳の聞こえぬ者が聞きつけ、手のない者が縄で縛り、足のない者が棒で打つ。そのうち湖に火が飛んで燃え上がり、花籠で水を汲み、谷から峰へ転げ落ち、みみずの肋骨が向こう脛に突き刺さる。杵でも臼でも抜けないが、三年先に作った甘酒と一昨日の辛酒をつければすぽんと抜ける、と結ぶ。ありえない事柄を早口で畳みかける口承文芸の一種である。
原典より
早物語語って候八反畑に瓜なり候。—— 富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話(富岡市(編)・富岡市史)
『富岡市史 民俗編――昔話・伝説・世間話』は、富岡市が編んだ市史の民俗編のうち、民俗知識の章の末尾と口頭伝承の章を収めたものである。口頭伝承の章は、昭和四十年代以降の中学校郷土部の採話や額部地区の民俗調査、市史編さんの調査で聞き取った昔話・伝説・世間話と、富岡・甘楽方言の解説から成る。伝説は自然的・社会的・信仰的の三つに分け、羊太夫や小野小町、貫前神社にまつわる話と多くの地名起源を載せる。