三曽嶺の沼で髪を整えた姫
どんな伝承か
大倉山と峰続きの山に三曽嶺と呼ばれる山があり、そこにびんだれという小さな沼がある。滅びた高津戸館の姫が、死出の旅の身支度をしたゆかりの場所だと伝えられている。落城の夜、ひそかに城を抜け出した若武者がいた。北党勢の探索は数日続き、姫の遺骸は見つからぬまま、三曽嶺で一人の落武者が捕らえられた。若年ゆえ雑兵かとあざけられたその者は、取り乱しては武門の恥として身支度の暇を乞い、藪へ姿を消した。やがて現れたのは、武者装束を解き、沼を鏡に髪を整えた高津戸館の姫君であった。姫は領民の安穏を願い、三曽嶺の露と消えたという。村人はこの沼をびんだれと呼ぶようになった。
原典より
大倉山と峰続きの山に三曽嶺とよばれる山がある。—— 富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
富岡町史 第3巻(考古・民俗編)――昔話と伝説(富岡町(編)・富岡町史・自治体史(民俗))
『富岡町史 第3巻(考古・民俗編)』第九章所収の昔話と伝説。福島県双葉郡富岡町(震災前)に伝わる口承を採録する。