亡き娘の声で話すセキセイインコ
どんな伝承か
神戸市熊内町の歯科医大閼記の家では、飼っていたセキセイインコがある日突然、教えたこともない人の言葉で、数年前に亡くなった娘朝子の消息を伝え、翌日からは朝子の生前の口ぶりで両親と話すようになった。インコはキャラメルなど朝子の好物を次々にねだり、鳥の体に毒ではと案じながらも家族は亡き娘に食べさせるつもりで与えたが、やがて胃腸を損ねて死んだ。次に飼ったインコも同じように朝子の声で話して評判になり、昭和九年の夏には大閼記がこの鳥を連れて上京し、華族会館で人を集めて声を公開した。その鳥も食べ物がもとで死に、三羽目も同様で、四羽目もなお朝子の声で話し続けているという。
原典より
セキセイインコが人語の出来る鳥であるところから、死者の心霊が憑依して爲させる現象であるのだと認めねばならなかつた。—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。