一ちゃんが死ぬと叫んだ少年の予言
どんな伝承か
本吉嶺山の三男の春信少年は霊媒の素質があり、羽黒山で修行した男の霊だという指導霊が付いていた。ある年の三月末、千葉県大原町の近在に住む知り合いの老婦人が本吉の家を訪ね、玄関先に腰かけて話し込んでいると、外で遊んでいた春信が駆け寄ってその顔をじっと覗き込み、一ちゃんが死ぬと何度も叫んで門の外へ走っていった。一ちゃんとは老婦人の十四歳の孫一郎で、とても丈夫な子だったので皆は子どもの戯れ言と笑った。ところが一時間ほどのち、一郎は籠から逃げて庭の柿の老木に止まった飼い鳥を捕まえようと木に登り、枝が折れて落ち、急所を打って息絶えたという。
原典より
然るにこの一時間後に一郎少年は、自宅の愛禽が鳥籠を脱して庭の老木の柿の樹に飛び出したので、之を手捕りにしようとてその木に登ったところ、…—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。