一周忌の写真に三度写った亡母
どんな伝承か
稜威会員の東秀生が、大正の初めに伊勢の古市で見たという写真の話。古市のある素封家には娘ばかり六人がいて、母親の好みで長女は琴、次女は三味線、三女は胡弓というように、一人ずつ違う芸事を仕込まれていた。ある年に母親が亡くなり、一周忌の法事の折、六人がそれぞれ楽器を手にして家の仏間に並んだところを写真に撮った。すると並んだ娘たちの頭の上に、盛装した亡き母の姿が写っていた。怪しんで三度撮り直したが、三度とも母の姿が写り、その顔はいたって穏やかだったという。
原典より
或る年、その母親が死んで一周忌の法事のときに、六人の娘だちが、我家の佛間に列らんで、各自の樂器を手にして居るところを寫真にうつしたところ、…—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1940年(昭和15年))
『心霊不滅』は、岡田建文が著し、昭和十五年に大阪の国民書院が発行した心霊研究書である。人の心霊は肉体の死後も存続するという立場から、神道の神霊の垂示を引きつつ、心霊の本質と「化精」、遠感と魂の遊離、生霊、二重体、交霊術と霊媒、霊感筆記、幽霊写真などの物理現象、幽霊の出現を論じる。序説と七章からなり、第三・四・五・七章に「例一」「例二」と番号を付けた事例を並べ、今昔物語の説話、江戸から昭和の国内の見聞、欧米の報告を挙げる。