娘に憑いて衰え死なせる川太郎
どんな伝承か
中川家の領地である豊後国の岡では、川太郎がたびたび娘に淫するという。取り憑かれた娘はいつとはなく物忘れするようになって床につき、親族も川太郎のしわざだからどうにもならないとあきらめる。川太郎に憑かれると医療の手立てはなく、死に至るとされた。川太郎は時おり女のもとへ通い、人の目には見えないが、病人が誰かと話して笑うような様子で分かるという。こうしたことがあると、ある物を日に干し固めて灯芯にし、油で火をともして、その下に女を座らせておく。すると川太郎は必ず姿を現すので、それを打ち殺すのだという。『譚海』の記事である。
原典より
川太郎に憑かるっときは誠に醫療術無し、死に至ることなりと云へり。—— 動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))
『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。