狸が描いた布袋図と狩野の目利き
どんな伝承か
建長寺の古狸が勧進僧に化けて諸国を歩き、武蔵の宿場で正体を見破られて犬に噛み殺された。その狸が礼として置いていった、渡河の布袋を描いた墨絵の一幅が、のちに江戸本所表町の町医三夕の手に渡る。方々へ貸し出されるうちに評判となり、ついには将軍家治の目にとまった。将軍がそれとなく絵師の狩野某に見せて鑑定させると、この筆には浮いたところがある、おそらく口に筆をくわえて描いたもので、手で描いたものとは見えないと答えた。家治はさすがの目利きだと褒めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期(1927))
心霊研究家・岡田建文が昭和二年(一九二七)に著した『動物界霊異誌』。現代物理は宇宙の大物理の末梢に過ぎぬとの立場から、動物の霊異を迷信的虚妄として退けず証明すべき事例として収集する。蝦蟇(ヒキガエル)の章では、蛇を埋めてクリ茸を生やし食う怪(島根波根東村)、背に五寸釘を刺され口から怪光を吐く大蝦蟇(会津若松龍田屋、同時に幼児が高熱)、猫を灰色の液汁に溶かす怪(石見久利村)、慶応二年に浄土寺へ夜ごと現れた武士の正体が蝦蟇だった話を収める。