虎姫を祀る曽我比丘堂と入定の伝え
どんな伝承か
高田郡美土里町北には、曽我比丘堂すなわち曽我神社があり、虎は弥陀観音と薬師千手の像を納め、堂の傍らの丘の松の下には石を畳んで虎姫の霊を祭る塚がある。『美土里町の歴史と伝説』によれば、虎はここで亡夫の菩提を弔い、付き従う下女もよく仕えたので、その節に感じた遠近の人が食を恵んだという。そして承元三年、三十六歳のとき祐成の十七回忌を弔って入定を志し、「念仏と鉦の声次第次第にかすかになりて、聞く人の袖をしぼりけり」と伝える。恋慕に堪えぬ女はこの堂に祈れば皆幸せを得るといわれた。
原典より
高田郡美土里町北には、曽我比丘堂(曽我神社)があり、虎は弥陀観音と薬師千手の像を納め、堂傍の丘の松樹の下に石を畳んで虎姫の霊を祭る塚がある。—— 広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史)
『広島県史 民俗編――伝説の分布』は、広島県が編んだ県史民俗編のうち、「休養と娯楽」の部に置かれた「伝説の分布」の章である。八幡信仰にかかわる聖蹟伝説や炭焼長者、厳島をめぐる石神やうつぼ船の伝説、和泉式部・虎御前・菖蒲前を語り歩いた巫女の伝説、人柱や竜蛇の伝説などを、『芸藩通志』『福山志料』などを引いて論じる。「八幡信仰の流れ」「厳島伝説の周辺」「巫女と伝説」「県北の伝説」の四節からなり、伝説の名を見出しに立てて所在地とともに述べる。