蟹の褌を自分の褌と取り違えた男
どんな伝承か
成田市に伝わる笑い話。初めて大きな蟹の御馳走が出た席で、ある男が食べ方が分からず隣の人に尋ねた。「蟹褌を取って、それから割って食べるものだ」と教えられた男は、その言葉の意味を取り違えてしまう。そうっと自分の身につけていた褌を外し、それを膳の隅にそっと置いたのだという。同席していた人々はこれを見て大いに笑ったと伝えられ、村の語り手の間で長く語り継がれてきた滑稽な一口話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
成田市史 民俗編――昔話・伝説(成田市(編)・成田市史)
『成田市史 民俗編――昔話・伝説』は、成田市が編んだ市史の民俗編のうち、口承文芸の節を収めたものである。昭和五十二年から五十四年にかけての聞き書きをもとに、話者の一覧表を掲げ、喰わず女房や猫の踊などの昔話二十六話、多古の殿様などの笑話二十二話、七不思議・巨人・塚・坂・主の話など成田の伝説十二項を載せる。昔話と笑話の題には『日本昔話集成』の型番号を付し、語り始めの句や語りの場の解説を添え、末尾に世間話の節の冒頭を収める。