祇園・北野に祀られた御霊
どんな伝承か
人が死んで残る霊のうち、祀ってくれる者のある霊は年忌を重ねて清まり、やがて神として先祖に加わるとされた。これに対し、生きているあいだ不遇だった人や、憤りを抱いて死んだ人の霊は、死後もっとも恐ろしい悪霊となって、生きている人々にさまざまな災いをもたらすと考えられた。これを御霊と呼び、災いを軽くしてもらうために手厚く祀ることが行われた。この信仰は奈良時代の末から平安時代にかけてとりわけ盛んで、京都の祇園や北野はその代表的な御霊社となった。
原典より
さらに生前不遇であったり、憤死した人の霊は、死後は最も恐るべき悪霊となって、生ける人々にもろもろの災を与えると考えられ、これを御霊と称して、災難の軽からんがためにねんごろに祭ることが行なわれた。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。