山科新宮の放生会紛争
どんな伝承か
京都の東の郊外、山科里の藤尾寺の南にあった道場で、ある尼が石清水八幡大菩薩の像を祭ったところ、さまざまな霊験があり、遠近の僧尼や身分を問わない男女が帰依して参詣した。尼が石清水の本社にならって八月十五日に放生会を営むと、山科の新宮がにぎわう一方で本社の祭りはさびれてしまった。これがもとで争いとなり、ついに石清水から僧俗数千人が山科へ押しかけて新宮を襲い、大菩薩の像を本社へ移したという。
原典より
そのため紛争が生じてついに石清水から道俗数千人が山科へ押し寄せ、新宮を殴って大菩薩の像を本社に遷したという。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。