塔を風から守る法隆寺九輪の鎌
どんな伝承か
大和の法隆寺では、五重塔の九輪に鎌が差し込まれている。これは風を切るためのもので、塔が風に吹き倒されるのを防ぐのだと言われる。著者は、諏訪の明神の風祝が風を鎮めるために神宝の薙鎌を立てたという『年中行事辞典』の記述を取り上げ、薙鎌は御柱にする木の目印で風とは無関係とも見られるとしながら、法隆寺の例からすれば鎌に風を防ぐ力があるとかつて一般に考えられていたとみて、諏訪にも防風の行事があったと考えてよいと結論している。
原典より
しかし、大和の法隆寺の五重の塔の九輪に差し込まれてある鎌が風を切るものであり、これによって塔が風で倒されるのを防ぐのだといわれているところを見ると、鎌にそういった力があるものと、かつては一般に考えられたと思われる。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。