大幣を奪い合い宇治川へ投げ込む神事
どんな伝承か
京都府宇治市では六月八日に大幣神事が行われる。半円形の枠に白幣を長く垂らし、松の枝と傘三本を放射状に結んだ大きな御幣を中心に、旗や傘鉾などの行列が町中を練り歩く。御旅所で休んだのち元の町へ戻ると、若衆たちがこの大幣を奪い合って紙を引きちぎり、合図とともに宇治橋まで一目散に運んで踏みつけて壊し、その残骸をことごとく橋上から宇治川の急流へ投げ落として神事は終わるという。
原典より
そのうち合図があると、破れた幣をかついで一目散に宇治橋へ行き、そこでふみつけてバリバリとこわし、残骸すべてを橋上から宇治川の急流へ投下してしまい、終わりとなる(昭和二七年筆者調査)。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。