日のある方へ馬を向け続ける童
どんな伝承か
神幸の行列には、ヒトツモノと呼ばれる神霊の憑りましの児童を伴うことがある。これは輿には決して乗らず馬にまたがり、笠や背に幣か山鳥の羽をつけて、憑りましであることを表示する。京都府宇治田原では、これを「日の使」といって、頭屋の男児を馬に乗せた。もとは朝から夕まで、日のある方向へ絶えず馬の向きを合わせておくべきものとされていた。土佐や福島など各地にも似た例があり、馬上で眠る稚児を「大行事」「勅使」などと呼んだ。素朴な人々は、そうした姿を神に近いと見たのであろう。
原典より
京都府宇治田原では「日の使」といって、頭屋の男児を馬に乗せ、もとは朝から夕まで日のある方向に馬を向けているべきものとした。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。