和歌と俳句で明かす庚申の席
どんな伝承か
庚申の夜は徹夜が本義だが、その長い時間を埋めるためにさまざまな遊びが行なわれた。平安期の歌合や碁双六から、江戸の連歌・浄瑠璃・将棋、近代の花札やトランプに至るまで、中身は移り変わっても遊ぶこと自体は変わらない。なかには賭博の親分が席に加わる土地もあった。一方で、水戸の柵町では商人たちが講の席で和歌を詠み、新潟の村上市片町では俳句を作るなど、風雅な楽しみに時を費やしたと伝えられている。いまでは雑談が中心だが、村の相談ごとをこの席で片づける土地も多い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。