魚を米に替えに来る箱根の山男
どんな伝承か
譚海によると、相州箱根の山男は裸で木の葉や樹皮を衣とし、深山で魚を捕って暮らしている。市の立つ日を知っていて魚を里へ持ってきて米と交換し、人に慣れて怪しまれることもない。売り買いのほかは多くを語らず、用が済むと去る。跡をつけて住みかを知ろうとした人もいたが、絶壁の道もない所を鳥が飛ぶように去るので、ついにわからなかった。小田原の領主も、人に害をなす者ではないから鉄砲などで撃つなと命じていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。