一年生にだけ見えた学校の座敷童
どんな伝承か
明治四十三年の夏、七月頃のこと、陸中上閉伊郡土淵村の小学校に一人のザシキワラシが現れ、児童と一緒になって遊び戯れた。ただし尋常一年の小さい子供たちのほかには見えず、小さい児がそこにいる此処にいるといっても、大人にも年上の子にも見えなかった。遠野町の小学校からも見に行ったが、やはり見た者は一年生ばかりで、毎日のように出たという。十七、八年前、遠野の小学校が南部家の米倉を使っていた頃にも、夜九時頃に白い衣を着た六、七歳の童子が戸の隙から入り、机や椅子の間をくぐって楽しそうに遊んだという噂があった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪談義(柳田國男選集 五巻)(柳田國男・柳田國男・妖怪学・1956年(昭和31年))
『妖怪談義(柳田國男選集 五巻)』は、柳田國男が妖怪についての論考を集め、昭和三十一年に自序を付して編んだ論集である。妖怪と幽霊の別を説く総論「妖怪談義」に始まり、川童・小豆洗い・ザシキワラシ・山姥・山男・大太法師・一つ目小僧・天狗などを、各地の言い伝えと方言の呼び名から考える。巻末に全国の妖怪の名を短い説明つきで集めた「妖怪名彙」を置き、大藤時彦の解説を付している。