身を投じて村を救った尼と娘の皿沼
どんな伝承か
今は田になっているが、昔、千里村の剣谷地の北方に皿沼があり、周りには御堂や僧房が並んでいた。ある夏の夕、旅僧が磐梯山の中腹から赤と青の雲が伸びるのを見、続いて湖と赤埴山から飛び出した火の玉が御堂の真上で衝突して沼に落ちるのを見て、災いが起こると告げた。誰も宿を貸さぬ中、名主だけが手厚くもてなし、僧は書き置きを残して去った。二十一日目の夜、堂塔は焼け落ち、翌年住みついた尼と名主の娘さくらが、大雨の濁流の中へ身を投じて村を救ったという。
原典より
いまは田圃になってしまったが、昔千里村の剣谷地の北方に皿沼があり、沼の周辺には立派な御堂や、僧房が建ち並び、近郷近在の信仰も厚く参詣の人も絶えず、朝夕のおつとめのお経の声は遠くまで及び、たくさんの坊さんが住んでいたという…—— 猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説(猪苗代町(編)・猪苗代町史)
『猪苗代町史 第2集(民俗編)――昔話と伝説』は、猪苗代町の町史民俗編のうち、第十一章「昔話と伝説」を収めたものである。町内の話者から聞いた方言まじりの昔話と、楊枝峠の力松、皿沼物語、木地小屋村の大蛇、大恩寺の化け灯篭、首なし地蔵、吾磐椅の鬼婆、磐梯明神など、町内の地名や寺社にまつわる伝説を載せる。昔話は動物昔話と本格昔話に分け、伝説の末尾に『新編会津風土記』『耶麻郡誌』などに載る伝説の題を挙げた伝説追補を付す。