狐を祭り大神宮と称した京の巫覡
どんな伝承か
著者は、大江匡房の『狐媚記』が伝える康和三年の「狐の大饗」に続けて、それより古い記録として『中右記』長元四年八月の条を引いている。そこには、京の町なかで巫覡たちが狐を祭り、それをむやみに伊勢の大神宮だと言い立てていたことが記され、このようなことはあってはならないと書かれているという。著者はこうした記事から、平安末の都大路でも、今日の狐施行に似た狐への供えごとが行われていたと推し量っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。