桂地蔵の霊験を騙った阿波法師
どんな伝承か
イタカという言葉の初見として柳田が挙げるのは看聞御記で、応永二十三年七月十六日以降の数か所の記事に阿波の法師と称する者が出てくる。この僧はその徒党とともに山城の桂地蔵の霊験を騙って人を欺き、財を貪り、ついに召し捕られた。実は阿波国の住人ではなく、ある者がこれを罵ってイタカめと呼んだことが見えるという。柳田はこの御記の文を自分では見ておらず、桜井秀から伝え聞いたと断っており、イタカが鉦打や鉢叩と同じく半僧半俗の物乞いの類ではないかと考える手がかりとしている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。