雪目を移す藁人形と慶運寺の地蔵
どんな伝承か
雪が降り積もって陽がさすと、ぎらぎらする反射光に射られて雪目になることがよくある。残雪に強い陽光が当たる春先にもかかりやすい。初雪が積もった朝にそれを手に取って目をこすると、一冬雪目にならないという。雪目になってしまったら、藁で人形を作って握り飯を背負わせ、一文銭を藁で結んで、街道の辻や村境に立つ地蔵さまに置いてくる。そのときの唱言は「ヤンメ、ヤンメ、今からおら家さ来んなよ」であった。実際に地蔵尊が立てられているのは南陽市荻の慶運寺内で、餅や菓子を供えるという。元来の「ヤンメ地蔵」は「病い地蔵」の意で、目だけでなく病気を治してくれる地蔵であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。