小夜姫の身売りと千五百両
どんな伝承か
大麻生左衛門四郎は遠州小夜の中山の大鹿長者、愛宕の庄司の館に至り、胆沢の郡司義実の意向を一々伝えた。庄司は了承し、近隣に美女を探す。小夜姫は当年十七歳、継母のもとで苦労を重ね、前年の春に父を失い、母は眼病で左の目を失っていた。妹の糸姫は十三歳で姉を親のように敬い、二人で孝養を尽くしていた。庄司が事の次第を伝えると、小夜姫は父の菩提も弔えぬ暮らしゆえ叶うならどんな辛苦も厭わぬと答え、身代金千五百両を受け取った。三か日の仏事を営み、残りの金は庄司に預けたという。
原典より
扱も大麻生左衛門四郎は遠州小夜の中山大鹿の長者愛宕の庄司が館に至り、胆沢の郡司義実存意の程一々相談に及しかば、愛宕の庄司一々了承し軍事にあらざれ共互に見つぐべく、見つがるは武士の道なりと色々尋るに、小夜姫当年十七歳継母の…—— 胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。