火を消したお不動の念力
どんな伝承か
不動坂には清水がこんこんと湧き、どんな旱魃でも絶えることなく農民を救った。その恩恵を受ける周辺の部落には火事は起こらないと伝えられていた。昭和の初め、不動坂の萱野が燃えているのを見つけた者が、春風に煽られて部落へ燃え移ると危ぶみ、家へ引き返して手桶を持って駆けつけると、火はどこへやら消えていた。不思議に思っていると小山本浄寺の和尚が通りかかり、お不動さまの念力であると答えたという。不動尊塔の石碑は二十八日の建立で、近年その部落に起きた火災も、十文字の大火も二十八日であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。