母の血を飲まされた飼い猫
どんな伝承か
草双紙『鍋島猫騒動』では、息子の又七郎が太守に手討ちにされ、蔵の下に埋められたと聞いた母が、正気を失ったかのように激しく怒った。死んでこの怨みを晴らそうと決めた母は、懐剣を自分の胸に突き立て、あふれ出る血を飼い猫の口に注ぎ込んだ。そして「私の念を受け継いで、必ず仇を取っておくれ」と猫に言い残し、その場に倒れて息を引き取った。血を飲まされた猫はどこへともなく逃げ去り、その後、太守の身辺に怪しい獣が現れるようになる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪伝説奇聞(東雅夫・2005年(平成17年))
『妖怪伝説奇聞』は、東雅夫が二〇〇五年に学習研究社から刊行した妖怪伝承地の探訪記である。稲生物怪録の木槌、クダン、牛鬼、塵輪、ナメラスジ、八幡の藪知らず、鬼の骨、蛇骨、鍋島の怪猫、児啼爺などを追い、中国・四国・九州ほか各地の寺社や旧家を訪ねて遺物と伝承を確かめる。月刊誌「ムー」の連載「日本伝説紀行」の十二章を三つのカラーグラビアで区切り、巻末に草双紙『鍋島猫騒動』の復刻を添える。