掌に名を書いて葬った娘と花川戸の使い
どんな伝承か
勝五郎の再生で知られる土地に近い八王子のあたりでも、死者の掌に印の文字を書いて葬る習わしがあった。村田鈴城の祖母の話では、一人娘を亡くした親が悲しみのあまり、娘の掌に住まいや名前を細かく書いて葬った。三、四年ほどして、浅草花川戸のある家の使いだという見知らぬ男が訪ねて来て、お宅の娘さんがうちに生まれ変わったので墓の土をいただきたいと言い、金一封を置いて帰ったという。
原典より
ご当家の娘さんが某々の家に生まれ代わったから墓土を頂きたい」と言い、金一封を置いて行ったことがあったという。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。