秀衡の軍用金を掘る八幡神社の一本杉
どんな伝承か
源義経を世に送り出した後ろ盾、奥州の藤原秀衡は、京までの道中二十八か所に軍用金を埋めたと伝えられている。東京都下の八王子市にある八幡神社の一本杉の根元もその一か所だと信じて、掘り続けている人々がいるという。五ヶ瀬の城跡から古銭が出たような話がまれに伝わると、あきらめかけていた者たちがまた勇気づけられるのである。こうした話の主役はいつも金売吉次だが、吉次はもともと各地の鍛冶に材料を回し、製品を売り歩いた仲買人の一人にすぎず、いつのまにか黄金の運び手に仕立てられたのだと本書は述べている。
原典より
東京都下八王子市八幡神社一本杉の根元などもその実例。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。