宇治の瀬に浸かって鬼となった橋姫
どんな伝承か
嵯峨天皇の時代、嫉妬深いある公卿の娘が貴船社に七日籠り、鬼になりたいと祈願した。貴船大明神は「まことに鬼になりたければ、宇治川の河瀬に行き、三七日川に浸かってこい」と示現した。女は黒髪を五つに分けて角とし、顔を朱に染め、両足に松明をともし口に火をくわえて夜更けの大和大路を走り抜け、宇治川に三七日浸かってついに生きながら鬼と化した。これが宇治の橋姫の由来と伝わる。
原典より
このようにして、宇治の河瀬に行って、三七日つかったので、貴船の社のはからいどおり、生まれながらの鬼となった。—— 日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人物語5――秘められた世界(関敬吾(編)・日本人物語)
『日本人物語5――秘められた世界』は、日本人の暮らしの奥にある秘められた信仰や伝承を扱った叢書『日本人物語』の一冊である。境の神や通過儀礼を論じる序論に続き、入らず山や隠れ里、竜宮、平家谷、埋蔵金、生まれ代わり、あの世を見た話、魔法使い、生霊、秘密結社、狐憑きなどを、伝承と昭和三十年代までの新聞記事・見聞を織りまぜて述べる。序論「生活文化の秘密性――はじめに」の後、「奇蹟」「不気味な神々」などの区分の下に短い節を並べる。