自休と一休の神通比べと径山寺の火
どんな伝承か
京の大徳寺の一休、伊勢の虎蔵主、安芸の次休は三蔵主と呼ばれ、天下に名が知られていた。一休がはるばる下根の次休を訪ねて来た時、次休はそれを前もって見抜き、根の谷川で釣りをしながら一休に声をかけて驚かせた。庵でもてなした次休は、鱸の膾を噛んで吐き出し、魚を生き返らせて見せた。一休は座に糞をして、魚を仏にしたと大笑いした。次休が水を飲んで吐くと炎となって松に燃え移り、一休は小便で水を元の水に返したという。またある夜、次休は庭の椿に水を注ぎ、大明の径山寺の火事を消していると言った。翌年、径山寺から礼の使いが宝物を携えて来たと伝わる。
原典より
ところが今度は次休さん傍にあった一杯の水をのんでこれを庭に吐き出すと、それが火炎となって前の松の枝に燃えうつった。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。