魚平山の頂の天の川原と雨乞い
どんな伝承か
美土里町本郷塩瀬の魚平山の頂に、わずかばかりの河原があり、昔から天の川と言い伝えられ、今は大ジロ河原とも呼ばれている。いわれは分からないが、昔この河原に鯛がいたので魚平という山の名がついたという。村の郷土史によれば、海抜六百七十メートルほどの山の八合目、大日峠と呼ばれる所に一反ほどの河原があり、一面に河石が転がって水草が茂り、ところどころに沼があって三筋の川が細く流れている。谷でもない山の上に水の流れる河原があるのは不思議なことで、今も農夫はここで雨乞いをし、川をせき止めて河原に水を満たすと必ず雨が降るという。
原典より
美土里町本郷塩瀬の魚平山(いをひらやま)の頂に少しばかりの川原があり、むかしから天の川と言い伝えられているが、現在では大ジロ川原とも称えられている。—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。